音域は中央ハのすぐ下の変ロから3オクターブ弱上のイまで約3オクターブあるが、奏者達の研究によっては最高音を変ロとされているオーボエもある。
奏者の実力と奏法を工夫すれば、それより上のロ、ハ、変ニ、ニまで出せることもできるが、演奏は極めて困難である。
さらに上最高音の数音が発音できるか否かは奏者の力量、リードの質による。
また音の組み合わせに制限はあるが、ハーモニックス、二重音、三重音、多重音の発音が可能である。
グリッサンド、フラッタリング、弱音奏法(これもハーモニクスと呼ばれる)、循環呼吸法による切れ目ない演奏、音色を変化させるフィンガリングなど、現代奏法にも広く適応する。
音色を変化させるフィンガリング(timbre fingering)では1つの音程について20種類程のフィンガリングが存在することもある。
著名な現代曲ではいくつかの音についてこのフィンガリングが使われている。
オーケストラや奏者によるお国柄の濃い楽器であり、地方毎に独特のシステムのオーボエが用いられていた歴史がある。
現代ではコンセルヴァトワール式と呼ばれるキーシステムのものが一般的である。
コンセルヴァトワール式にはオクターブキーの機構によってセミオートマチックとフルオートマチックがある。
この違いは音色にも現れ、ドイツ趣味の奏者はフルオートマチックを使用していることが多い。
セミオートマチックは第1オクターブキーと第2オクターブキーの切り替えの時点で第1オクターブキーが自動的に閉じる機構になっている。
フルオートマチックはこれに加えて第2オクターブキーが自動的に開き、奏者による操作を必要としない。
各キーにもオープン式とカバー式のものがあり、これも音色に影響する。
現在はカバードキーが多い。
オーボエの場合カバードキーといってもキーの中央に穴が開いている。
フルートではリングキーと呼ばれる部類に入るのであろうが、オーボエではこれをカバードキーと呼んでいる。
オープン式の場合は、現代のクラリネットのようにリングのみのキーを装備している。
その他、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で使われているウィーン式(現在は日本のヤマハが製作)、イギリスを中心に使われているサムプレート式がある。
サムプレート式は元々コンセルヴァトワール式の1世代前のキーシステムであるが、現在ではハワース社製のようにコンセルヴァトワール式にキーを追加したものもある。
現在ではほとんど使われないが、ドイツ、ロシアで用いられたジャーマン式もあった。
管体は、クラリネットなどと同様にグラナディラが用いられることが多く、その他にはローズウッドやキングウッド材などのものも知られている。
プロ・アマ問わず、コンサートホール等での通常の演奏形態ではこうした木製の楽器を用いる奏者が大半であるが、樹脂製の楽器も存在する。
木製の楽器においても、管体の一部に樹脂素材を用いているものもある。
楽器は、上管・下管・ベルといった部分から成り、上管の最上部にはリードの差し込み口がある。
オーボエ属のコーラングレや、同じくダブルリード楽器であるファゴットのようにボーカルを介してリードと楽器を接続する形態ではなく、楽器に直接リードを差し込むのが特徴的である。
発音体であるリードは奏者によって製作されている。
この楽器を学ぶ者はリード製作技術の習得も必要である。
これはリードが消耗品であり、たとえ良いリードであっても同じリードをいつまでも使い続けられないためである。
なおリードにも、国柄、使用している楽器のメーカー、またそのモデルによるスタイルの違いが見られる。
アメリカではロングスクレープと呼ばれる、リード木部全体(といっても5分の4から3分の2程度)が削られているものが主流である。
ヨーロッパではショートスクレープと呼ばれる、リード木部全体の半分以下の部分が削られているものが主流である。
しかし一方、アメリカ以外でもイギリスには古くから、やや異なった形でのロング・スクレープの伝統があり、独特な楽器で知られるウィーンのスクレープも長めである。
ドイツの奏者の中にもスクレープの長さは短いながらも、その中での凹凸の付け方がアメリカのロングを縮小したようなスタイルを好む者もあり、他方でスタイルはアメリカンながらスクレープは全体の2分の1程度のものも見られる。
リードの設計によって全音域での音程バランス、第1、第2オクターブの音程バランス、ピッチ、高音の発音の容易さ、音色の変化の幅、アーティキュレーションの容易さ、その変化の幅、アンブシュールへの負担など演奏について多くの影響が及ぼされる。
リード材
加工の度合いにより、丸材、かまぼこ型、舟型と呼称が変わる。
リード制作入門者は舟型から入ることが多い。
チューブ
先端が楕円型の元が円錐形の金属管(45mm - 48mm)にコルクを巻いたもの。
コルクを巻くのは、楽器本体に差し込むためである。
最近は、金属管にゴムを巻いた製品も登場した。
リードナイフ
切れ味がよく、自分の手になじみ、使いやすければ他のものでも代用できる。
右利き用、左利き用とある。
荒削り用として切り出しナイフを使うと仕上げのためにナイフを研ぎ直さずに済む。
カッティング・ブロック
リード制作の過程で使用。
表がやや球面状で、直径約4cm程度、高さ1cm - 2cm程度の黒檀製のもの。
リードの先端をナイフで切り落とす際のまな板のようなもの。
プラーク
先端をカットした後、リードの先端から差し込む。
リードを削っていく際、リードが割れないようにするためのもの。
下敷きの意味合いがある。
舟形と呼ばれる上から見た形が紡錘型のものと、底辺の短い二等辺三角形の形をしているものがある。
サイドを削るためには二等辺三角形型が良い。
糸
リード材をチューブに巻き付ける際に使用。
材質は絹製、ナイロン製等。
手芸用に販売されているポリエステル製でも良い。
絹製は振動を押さえることが少なく、モダンテックニックを駆使する際に都合が良い。
ナイロン、ポリエステル製はやや振動を抑えるので、その分リードを削る必要がある。
色は各種あるが、好みに応じて使う。
巻き方は少々こつがいる。
シェーパー
リード材を、かまぼこ型から舟型に加工する際に使用。
削り幅の違いによって音に影響が出てくるため、数種類が販売されている。
好み、楽器との相性によって選択する。
ガウジングマシン
リード材を丸材からかまぼこ型にする際に使用。
丸材を3等分の扇形にカットし、リード材の内側を適正な厚さまで削り落とす。
アマチュアでここから作業する人はごく少数である。
リード材を固定するベッドの直径はオーボエ用としては10mmと11mmの2種類が多い。
フレンチ、アメリカンタイプのリードを製作する場合は11mm、ジャーマンタイプを製作する場合は10mmが適している。
メイキングマシン
糸で巻いたリード材を、手ではなく機械で削るためのもの。
あくまで補助的な機械であり、最後の仕上げは手作業となる。
数十万円するので、プロでも必ず持っているというわけではない。
針金
完成したリードに巻き付けて、リードの開き具合を調整する。
主にショートスクレープタイプのリードに使用。
どうしても響きを抑える効果を持ちやすいため、使用は好みによる(必須ではない)。
針金を用いることで(無理やり)開き具合を調整するというよりは、別途手などで調整した結果の状態を保つように使うのがよりよいとも言われる[要出典]。
一般的に0.3mmの真鍮製が使われている。
フィッシュスキン
完成したリードに巻き付けて、息漏れを防ぐためのもの。
本来息漏れはない方が望ましいが、材料の削り具合や制作者の力量により、制作過程でどうしても息漏れが発生してしまうことがある。
従って、これも使用は任意である。
リードに生じたトラブルの応急処置としても使われることがある。
また、水道管工事に使われる防水テープを使う場合もある。
フィッシュスキンよりリードの振動を抑える傾向がある。
耐水ペーパー
リード材の内側を磨いたり、シェーパーで型取ったケーンの仕上げに、リードのティップを整えたりと使用範囲は多い。
#1000がよく使用されている。
水入れ
演奏中のリードは乾燥してしまうと発音などに影響を与えるため、リードは湿らせておかなくてはならない。
そのための水を入れておくためのもの。
写真のフィルムケースや、風邪薬の空き瓶などを利用することが多い。
演奏後は、カビ防止のため、乾燥させておく[1]。